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みなさんこんにちは、大分の司法書士の堀です。
今回は、戸籍収集はこんなに大変ですよという話をいたします。
戸籍とは?
まず、戸籍とはどういったものがあるのか、についてお話します。
1つ目に、結婚や死亡などの事由によって、今載っている戸籍から抜けることを除籍といいます。
最終的に戸籍内の全員が1つの戸籍から抜ければ、戸籍自体が除籍という扱いになり、その写しを「除籍謄本」といいます。
たとえば、父母の戸籍に子どもが1人いて、その子が結婚するときに戸籍から出ていくことが除籍です。子どもが結婚して新しい戸籍ができると、父母の戸籍からは除籍されます。
さらに、お父さんもお母さんも亡くなって除籍され、その戸籍に誰も残っていないという状態が除籍謄本です。
2つ目は転籍です。
「結婚した当初は実家に本籍を置いていた。そのうち家族が増えて、実家とは異なる場所に引っ越した」という場合、引っ越した住所地に本籍を移すことがあります。
転入先の現住所に本籍地を移したことで新しい戸籍ができる、これを転籍といいます。
3つ目が改製です。
戸籍に関してはこれまで、制度改正による改製が何度も繰り返されています。
たとえば昭和32年に戸籍制度が改正されて、家単位の制度から家族単位に改製されていますし、それ以前には家督相続などの制度がありました。昔は戸籍が縦書きだったところが多いですが、平成6年より戸籍事務がコンピュータ化され横書きの戸籍に改製されています。
戸籍の記載内容
戸籍の記載内容には、
・氏名
・出生年月日
・戸籍に入った原因、年月日
・実父母の氏名及び実父母との続柄(長男次男など)
・養子である場合は、養親の氏名及び養親との続柄(養子、養父など)
・夫婦である場合は、夫または妻である旨
・他の戸籍から入った者については、その戸籍の表示
・その他命令で定める事項
といったものがあり、これらの戸籍情報から出生の元をたどれるようになっています。
遺産を相続する権利がある人を確定させるために、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し、調査する必要があります。
お父さんが亡くなった時にお母さんと子どもしかいなかったとしても、戸籍を見ると隠し子がいた、といったケースが時々あります。把握していない相続人がいる可能性がありますので、戸籍をきちんと調べましょう。
戸籍の収集方法
相続手続きを行う場合、戸籍は何においても絶対に必要になります。ここで、戸籍の収集方法について詳しくお話します。
1.現在の本籍地で戸籍謄本を請求する
亡くなった方である被相続人の戸籍を収集する場合には、死亡時の戸籍から遡って取得していくのが一般的です。
死亡時の本籍地である役所へ行って(または郵送で)戸籍謄本の請求をします。
2.被相続人の戸籍を確認して、出生から死亡までの戸籍をすべて取得
亡くなった時の戸籍を取得したら、そこから遡って出生から死亡までの戸籍を取得していきます。出生時は、当然に親の戸籍になっています。婚姻時には新たに戸籍ができるので、それだけでも2つの戸籍が必要です。
さらに平成6年より、縦書きから横書きの電子データに変わっていますので、その時点で順次戸籍が改製されています。ですので戸籍は1つではなく、2~3通と出てくることになります。
さらに、親の本籍地がわからないというケースがあります。その際は、本籍入りの住民票を取得します。死亡の届出をしていれば除票になっていますので、住民票の除票というものを「本籍地表示あり」で取得すると、亡くなった方の本籍がわかりますので、そこから遡っていきましょう。
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を取るにあたって、改製が何度も行われているので、最終的には「妻と子ども2人の家族」といった場合でも、最低5通ほどは必要になるケースがあります。ですので、相当な労力が必要になるかと思います。
3.本籍地が移転していた場合、すべての役所から戸籍謄本を取得
転籍を繰り返している場合は、何度も戸籍をたどって取得しなければならなくなります。
本籍はあまり動かさないものですが、引っ越すたびに動かす方も時々いらっしゃいます。すると、その度に戸籍は変わっていますので、何度も取り直さなければいけません。同じ市町村に引っ越している場合は1度で取れるかもしれませんが、隣の市町村へ引っ越しをしていれば、新しく戸籍ができてしまい転籍してしまいますので、その分も取得しなければならないのです。ですので、引っ越しをするたびに戸籍を動かしている場合は注意しましょう。
4.相続人の確定
亡くなった方の出生から死亡までに加えて、相続人となる人全員の戸籍も取得していかなければなりません。
相続人にならなければ遺産の分配も受けられませんので、相続人をしっかりと確定させる必要があります。
戸籍をすべて取得して相続人が確定した、と思っても、よくよく見ると隠し子がいたり、せっかく相続したのにそれを覆されてしまうこともあります。
代襲相続・数次相続など、相続人が下の世代にどんどん広がっていくと、戸籍の量もその分多くなっていきます。
5.相続人全員の戸籍と必要書類を収集
相続人を確定させるためには、相続人全員の戸籍と必要書類を集めなければいけませんが、面識のない相続人がいたりすることもあります。
その場合は、戸籍の附票を取得して、そこに載っている住所に宛てて「実はこの方が亡くなって相続手続きをしたいので協力してください」といった内容の手紙を送ることがあります。
ただ、面識のない相続人の戸籍を誰でも取れるのか、といえばなかなか難しいものです。本来であれば取れるはずですが、市役所によっては、自分の直系から離れている戸籍は取得できない場合もあります。
その際、われわれのような専門家は『職務上請求』で取得することがあります。特に面識のない相続人がいる場合は、個人ですべて行うのは難しいでしょうから、専門家に依頼していただいたほうが楽に戸籍を集められると思います。
戸籍の収集については専門家にご相談を!
戸籍は制度自体も難しいですし、収集して読み解いて相続人をきちんと確定しなければ、後で大変な事態になったりもします。
自分で収集するのが難しそうだと思われる場合は、専門家へご相談いただいて取得した方が安心な場合もあるかと思います。
今回は、戸籍の収集は大変だ、という内容をお伝えしました。
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