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みなさんこんにちは。大分の司法書士の堀です。
今回は、『相続土地国庫帰属制度』という、相続不動産に関する新しい制度について解説していきます。
負動産と呼ばれる土地について
まず、「負動産」と呼ばれる土地はどんなものかについてお話しましょう。
負動産とは、たとえば
・相続すれば、土地の固定資産税がかかってしまうので手放したい。
・売却しようにも評価が付かないため、まともに対応してくれる不動産会社がない。
・相続したけれど活用方法が見いだせず、できれば売却など処分したい。
とマイナスの要素がある不動産のことです。
具体的には、現在住んでいる場所から離れていて管理ができない。仮に相続を放棄すれば、プラス部分も含めてすべての遺産を放棄してしまうことになる。しかし、不動産を相続すれば、子や孫にとって迷惑なものになってしまうかもしれない。と思われる不動産のことを言います。
遊休地を保有するデメリット
遊休地を保有するデメリットとしては、使用していない土地にも固定資産税の納付が毎年必要になることです。何も作っていない耕作放棄地のような農地の場合は、通常の農地と比較して固定資産税が約1.8倍も高くなることがあります。
そして、維持や管理コストが大きな負担となります。たとえば、ボロボロの空き家が土地に残っていたり、近所から苦情がでるような状態であれば、修繕コストがかかります。
相続の際には名義変更が必要となりますが、書類の収集の手間や実際の登記費用も発生します。
新制度『相続土地国庫帰属制度』がスタート
前に述べたような土地の困りごとに対する対策として、『相続土地国庫帰属制度』という新制度が始まりました。これは、相続した負動産を国に引き取ってもらう制度です。
ただ、これはすべての不動産が対象になるわけではありません。適用条件に割と厳しい部分があります。
全ての「不動産」が対象ではありません
まず、建物がある土地は申請を受け付けられず、更地でなければ引き取ってもらえません。その他、却下事由になるケースとしては、
・担保権や抵当権が設定されている土地
・他人の利用が予定されている、占有されている土地
・土壌汚染されている土地
・境界が明らかになっていない、所有者が誰かがわからない・はっきりしていない土地
これらも適用が難しいとされています。
却下ではないにしても、承認を受けることができないケースがあります。
たとえば、一定以上の勾配、高さ、急な崖があって、国が引き取ったとしても管理が非常に大変になるケースや、建物はないけれど資材などの物が放置されているような土地です。
また、地下に何か埋まっているような土地。埋蔵品や遺跡が出現するようなところはおそらくダメでしょうし、ガソリンスタンドの地下タンクがある土地なども難しいでしょう。
そして、隣接する土地所有者との紛争(境界線問題)がありそうな土地や、通常の管理費用が過分にかかるような土地では、承認されない可能性があります。
負動産については専門家にご相談を!
『相続土地国家帰属制度』には、却下事由と不承認事由の2つがありますが、条件としては厳しいものとなっていますので、「この制度を使えば絶対に手放せる」というわけではありません。
制度はスタートしたばかりですので、どれだけ活用できるものか未知数なところはあります。そもそもキレイな土地であれば、買い手は早く見つかるでしょう。この制度が使えるケースはそれほど多くないのか、とも思いますが、負動産を処分する方法は他にもあります。今回は詳しくお話しませんが、国に限らず、業者が引き取ってくれるケースもあります。また次の機会にその話ができればと思います。
負動産について、問題を抱えておられたり不安がありましたら、まずはわれわれ専門家へお気軽にご相談ください。
今回は、『相続土地国庫帰属制度』についてお話しました。
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