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みなさんこんにちは。大分の司法書士の堀です。今回は『デジタル遺産問題』について、解説していきます。
デジタル遺産とは?
まず、デジタル遺産とは何かということからお話していきますが、パソコンや携帯電話、スマートフォンに保存された写真や文書、ブログ・SNS、ホームページのデータやアカウント等、実態がない遺品のことを指します。
また、ネット銀行、ネット証券、仮装通貨やFX、SNSアカウントといったデジタル形式で保管されている遺産のこともデジタル遺産といいます。
デジタル遺産は大きく分けると4つあります。
1:金融口座。ネット銀行やネット証券、FX、仮装通貨などのお金に関すること。
2:有料会員サービス。オンラインサロンやサブスク系です。サブスクリプションでいろんなサービスが展開されていますので、1つ2つは利用しているのではないでしょうか。
3:ポイント。Tポイント、楽天ポイント、マイレージといったポイント関係です。これらもたくさんありますね。
4:電子マネー。それぞれの金融機関で発行しているものもありますし、通販サイトに登録していて自動的に送られてくるものもあります。クラウドファンディングなどで自動的に送金されるようなものもあります。
これらのデジタル遺産について対策をしていないと、遺族が財産を受け取れなくなってしまう可能性があります。存在自体がわからない場合には受け取れないケースもありますし、アカウントや暗証番号などがわからなければ、開くこともできません。亡くなった方の情報にアクセスできず、利用手数料が膨れ上がってしまうこともあります。
今ではX(旧Twitter)も課金式、お金を払わなければ掲載してもらえないシステムになってきましたけれど、そのようなものをずっと続けていると、いつの間にか手数料が膨れ上がってしまうということがあります。
相続手続きに時間がかかってしまい、相続人同士の金銭トラブルに発展してしまうということもあります。
デジタル遺産問題を引き起こさないために
デジタル遺産問題を防ぐために
デジタル遺産問題を防ぐためには、アカウントの整理を行なうこと。そのために、エンディングノートなどへIDやパスワードを記して情報をまとめておく、という方法があります。書いてある情報が漏れてしまうのは怖いですが、「亡くなった時に信頼できる人が開いてくれる」くらいのことはしておかなければいけません。
いつでも家族に共有できるように、元気なうちに情報整理をしておきましょう。
エンディングノートとは?
万が一に備えて、家族や友人に伝えたいことや自分の希望などを、エンディングノートに書き留めておきましょう。市販のノートや手紙でもいいですが、本屋や文具店などで専用のエンディングノートが販売されていますし、種類もいろいろあります。このようなものを利用して書き込んでおくといいですね。
エンディングノートには法的な効力はまったくありませんので、気軽に書けますし、何回でも書き直しができます。
一般的にエンディングノートに書いておく内容の例としては
1.個人的な情報:財産(資産・負債)や契約に関する情報、重要書類の保管場所、デジタル遺産についての情報など
私は楽天証券に口座を持っていますが、申し込み手続き後、最初に封筒が送られてきて以来、書面として残るものがありません。暗証番号などは自分が把握しているだけです。せめて、「楽天証券での取引がある」ということがわかるような記録を残しておかなければ、存在することがわからないということもあり得ます。
ですので、契約していることの情報(冊子や契約書)があれば、それらを一緒にまとめておく、書いておくことが大事です。
2.老後の備え:持病、かかりつけ病院、緊急連絡先(親族、勤務先、病院など)老後の生活についての希望など
もし病院に入ることになった時はこんな病院に行きたい、延命治療はいらない、緊急連絡先、もしもの時に誰に連絡してほしいといったことを記しておきます。
3.死後の備え:葬儀の希望(規模や方式など)、家族に伝えておきたい想いや情報
葬儀の規模は小さくていい・直葬でいい、などそのような想いを家族に向けて残しておくことができます。
エンディングノートには、基本的に法的効力がありませんので、自由な形で書いてかまいません。法的に有効な形で自分の遺志を示したい場合には、遺言書を作成しておく必要があります。
エンディングノートと遺言書の違い
法的効力があるのは遺言書です。前述したように、エンディングノートには法的効力はありません。
書く内容として、エンディングノートでは、資産や延命治療、葬儀、家族についての想いなど自分のことを書きます。遺言書には、この人に相続させたい、この不動産は誰に、といった相続分の指定。また、遺言書の執行に関する効力について。たとえば、「その預貯金の解約手続きをするのは誰に任せる」といったことを書くことになります。
相続人の排除といいますが、自分を虐待しただとか、あまり良くない人間関係のときなど、「この相続人を相続人として扱わない」といった内容も遺言書には書くことができます。
遺産分割方法の指定についても、こうやって分けてほしい、何年間はこのままにしておく、といったこと(分割の禁止)もできます。また「家を○○のタイミングで売っていいよ」といった内容も書くことができます。
開封のタイミングですが、エンディングノートは生前に開封しても構いません。亡くなってすぐでもいいですし、生前の元気な時に家族で見ておくのもいいでしょう。
遺言書は、生前に見てもいいですが、亡くなってからでなければ効力が発生しませんので、亡くなった後に見るべきかと思います。公正証書の場合はそのまま見られます。自筆証書で法務局の保管制度を利用していない場合は、裁判所の検認の時点で開封することになりますので、それまでは開封しないようにしておく必要があります。
デジタル遺産については専門家にご相談を!
デジタル遺産問題を防ぐには、元気なうちに対策をしておくことが大切。そして、エンディングノートと遺言書は両方を作っておくのがベストです。
実は私もアカウントをたくさん持っていますが、新規アカウント登録をする際には、メールや郵便物が一度は来るものです。メールは印刷して、暗証番号やアカウントアドレスなどを書き込んで1つの冊子にして保管しています。どこに保管しているかは内緒ですが、もしも私に何かがあった時、その冊子を誰かが発見して見られるようにしていますし、預貯金や株などの資料もすべて1つの冊子に閉じこんでいます。
特にデジタル系遺産は、このような対策や準備が必要です。エンディングノートでなくても、何かしらの資料を残しておくということが非常に大事になります。
デジタル遺産の疑問や質問は、私ども専門家にぜひご相談ください。
今回は、デジタル遺産問題の対策や方法についてお話しました。遺産や相続に関して、さまざまなテーマや切り口でYoutube動画をアップしています。ぜひご視聴ください。
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