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みなさん、こんにちは。大分のほり司法書士法人、代表司法書士の堀智彰です。
今回は相続に関する事例として、判例解説をしてまいります。『婚外子非嫡出であっても相続分は平等である』というお話です。
婚外子の相続分は2分の1だった!
まずは事例の説明です。妻の花子さんに先立たれていた太郎さんが亡くなりました。太郎さんには、一郎さんと次郎さんというお子さんがいました。また、太郎さんの愛人である正子さんとの間に良子さんという子供がいました。良子さんは婚外子、法律上の非嫡出子になります。
太郎さんの相続に関して、一郎さんと次郎さんのお二人の間で「法定相続分で遺産を分けよう」という話になっていました。これは、民法改正が行われる前の話で、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1という制度がありましたので、その場合、良子:一郎:次郎の法定相続割合は1:2:2となり、良子さんは5分の1、一郎、次郎はそれぞれ5分の2でした。
しかしここで、良子さんが5分の1しか貰えないのは不平等だという話になっていきます。
平成25年9月5日までの民法では、900条の同順位の相続人がある場合の規定の1つとして、その第4号に”子、直系尊属または兄弟姉妹が数人あるときは各自の相続分は相等しいものとする。ただし、嫡出ではない子の相続分は嫡出である子の相続分の2分の1にする”という但し書きがあったのです。
「婚外子の相続分は2分の1」は違憲?
民法の規定に基づいて、一郎さんと次郎さんは相続分を決めていましたが、良子さんとしては、「同じ子供なのに婚外子・非嫡出子だからといって法定相続分が異なるのは憲法の平等の規定に反する」ということで裁判を起こしました。
自分の法定相続分は、一郎さん、次郎さんとも法定相続分と同じではないか、とのことでした。
婚外子の相続割合について裁判所の判断は
裁判所は、これまでの家族制度や時代背景、立法経緯を考慮しつつも、父母が婚姻関係になかった子にとって、自ら選択ないし修正の余地のない事柄を理由として不利益を及ぼすことは許されない、として良子さんの言い分を認めました。
この裁判が平成25年に行われた民法の改正へと繋がって、4号但し書き規定は削除されました。
現在では、婚外子であっても法定相続分はみな同じ、ということになり相続分が平等になりました。婚外子がいる相続の場合も、私どもにご相談いただければと思いますが、実際にはそれほど多い事例ではありません。100人の相談者に対して1~2件あるか、というところです。
相続に関する疑問や質問はお気軽にご相談を!
前妻の子供と後妻の子供が揉めるということはあっても、婚外子がいるというのは本当に稀です。しかし、そのようなことがあった場合には難しい対応を迫られることもあります。
その場合、今回の事例でいうところの太郎さんが、きちんと遺言を書いて気持ちや思いを残しておくか、婚外子の存在を何かしらのタイミングで奥さんやお子さんに知らせておく必要があるでしょう。将来的なトラブルを避けるためにもいくつか方法はあると思います。
このような、生前対策に関する相談も私どもにいただければと思いますし、相続の際に戸籍を取得したら婚外子がいたというケースもあります。その際の対応の仕方について私どもには経験がありますので、ぜひご相談いただければと思います。
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