基礎編9:悪意の遺棄・生死不明
離婚事由のひとつに悪意の遺棄というのがありますが、実際どのようなものでしょうか。
夫婦には、同居義務・協力義務・扶助義務がありますが、これらの義務をおこなわず、相手に多大な苦痛を強いた場合には、悪意の遺棄として問題になります。相手が困るとわかったうえで、自分勝手な行動をするようなケースです。
例
- 生活が困窮するのに生活費を渡さない
- 家族の生活を考えず別居する
- 勝手に実家に帰ったり、浮気相手の家に入り浸る
- 専業主婦なのに全く家事をしない
- 遊びまくっている
悪意の遺棄として離婚原因に相当しなくても、他の離婚原因と総合判断して、婚姻を継続しがたい重大な事由として判断されるケースがあります。
また、離婚しようと勝手に別居し、生活費を渡さなかったりすることも、悪意の遺棄と判断される場合があるので、離婚事由は相手にあるとしても、別居するときは勝手に出て行くのではなく、相手の同意を得ておくことも重要です。ただしDVなど差し迫った危険があるときは、警察等にも連絡をして直ちに非難するべきですね。
また配偶者が生死不明の場合、次の2種類の方法があります。
1.3年以上生死が不明な場合で離婚訴訟を提起します。相手は欠席となるでしょうから、原則としてはそのまま離婚の判決となります。離婚訴訟は通常、事前に調停手続きが必要ですが、生死不明の場合は調停なしで訴訟ができます。
2.7年以上生死が不明な場合、失踪宣告の手続きをとることもできます。この場合、離婚ではなく、相手は亡くなったものと擬制されます。ですので、もし生きていることがわかれば婚姻は復活しますので、再婚している場合には注意が必要です。
生死不明で離婚すると相手の財産は財産分与の対象ですが、失踪宣告の場合、相続の対象となります。どちらがよいのかはケースバイケースでしょうが、相手との関係の終わり方は慎重な判断が必要ですね。
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