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判例編3:姻族関係の終了と祭祀

花子さんは太郎さんと結婚して山田家に嫁ぎました。この時点で花子さんは山田家と姻族関係(広く言えば親族)になったわけです。

太郎さんは亡くなり、花子さんが喪主を務めました。その後、山田家の祭祀(お墓とか仏壇)は太郎さんの弟次郎さんが継ぐことになりましたが、花子さんは山田家と関係が悪くなってしまい、縁を切りたいと姻族関係終了の届けというものを市役所に提出しました。

山田家と縁を切った花子さんは、太郎さんの遺骨だけでも欲しいと主張したのですが、次郎さんは山田家の祭祀は自分が継いだということで、太郎さんの遺骨の引き渡しを拒否しました。

裁判所は、山田家先祖代々の祭祀は次郎さんが継いだが、太郎さんの祭祀は生存配偶者に原始的に帰属するとし、花子さんの言い分を認めました。つまり、家系的な承継と配偶者の承継を分けたということで、それは姻族関係を終了したからといって関係がない、ということでしょうか。

 

よく配偶者が亡くなっても親族関係は残るので亡くなった配偶者の両親の扶養義務があるとかいいますが、民法上は、「直系血族、同居の親族は扶養義務がある、裁判所は同居していなくても扶養義務を認めることがある」(民法730条、877条)という記載です。なので絶対扶養義務があるかと言われるとそうではないような感じですが、親族と仲違いして縁を切りたい場合には、姻族関係終了届けを出すとよいということですね。できればそんな事態は避けたいものですが。。。

ちなみに姻族関係を終了してもその配偶者との相続には関係ありませんので、相続はできます。

 

このような相談は滅多にありませんが、実際にはこんな事例結構ありそうですね。普段からの親族付き合いが大切なのかもしれませんね。

 

今回の参照判例:東京高判昭和62年10月8日家月40巻3号45項